菱作打刀(ひしづくりうちがたな)

  • 指定:国宝
  • 菱作打刀
  • 中身 脇指 無銘
  • 春日大社蔵
  • 長さ 1尺4寸9分(45.0cm)
  • 反り 4分6厘(1.4cm)

 

拵は、柄と鞘の全体が同じ意匠と構成からなり、平地は黒漆塗りとし、大形の四目花菱文を金蒔絵にして散らし、これに山金の長覆輪をかけ、柄には長めの冑金と縁金および筒金をはめ、鞘は長めの鐺と口金および筒金で締める。これらの金具類は山金で造り、銀の小縁を付けているが、なおそのうちで冑金、鞘の胴金、鐺、覆輪の金具は四目花菱文の金象嵌をしている。また柄の胴金には四花形透彫りの大きい座金物を据え、これに指目貫を入れているが、その座金物は地板に金板を敷き、透かし花形および目貫頭は銀でつくっている。鐔は山金製倒卵形で金覆輪をめぐらす。大小の四枚の切羽は鍍金を施し、鎺も同様であるが、これには表裏に不動明王の種子を籠字で刻している。鞘の胴金には竹の節を象った銀の栗形を取り付けている。
中身は、平造り、庵棟、身幅が広く、先反りの強い刀である。また目立って棟と刃の両区のくりこみが深い。地は大板目が肌立ち、刃文はのたれごころの中直刃でやや荒めの沸がつき砂流しがかかる。彫物は表裏に棒樋を掻き流し、腰樋を添える。茎は生ぶ、先は浅い栗尻、目釘孔は三個、鑢目は浅い勝手下がり、無銘。
菱作打刀に付属する杉箱の蓋裏に「奉納 春日御社剣一腰 菱作打刀 右為神財奉納如件 至徳二年正月廿二日(花押)」と墨書があることによって至徳2年(1385)に前参議葉室長宗が奉納し、菱作打刀と呼ばれていたことがわかる。
菱作打刀は遺例の少ない南北朝時代の打刀拵で鞘の蒔絵と金具の象嵌を菱文で表した意匠の優れたものである。刀身は一見幅広で反りのある南北朝様式と見えるものであるが、平造りのものとしては寸法が長く、区を深くして、先反りの目立つこと、また地鉄が大きく流れ肌立つ点などから平安時代後期から鎌倉時代初期にかかるものであるが、研磨の結果、焼を入れ直したという。従って古くより大事にされて来た刀に拵をつけて奉納したものといわれている。形状は、平造、庵棟、先反り強く、生ぶ茎、先細って栗尻、鑢目勝手下がり、目釘孔三。鍛えは、板目肌やや滓立ちごころに肌立って白け強し。刃文は、直刃小互の目足細かく入り、匂口沈み中ほど互の目刃となる。帽子は細くなり焼詰(表わずかに返る)。彫物は、刀樋と腰に添樋。

菱作打刀
総長:72.0cm 総反り:3.9cm 柄長:20.0cm強 鞘長:52.0cm 鞘反り:2.0cm
頭縦:3.4cm 縁縦:4.2cm強 鞘口縦:4.4cm弱 鐺縦:2.95cm
鞘口~栗形:7.4cm強
鐔:縦8.0cm 横6.3cm 耳厚0.4cm
柄:黒漆塗四ツ花菱文金蒔絵。
鞘:黒漆塗四ツ花菱文金蒔絵。
頭・鐺:山銅地同文銀平象嵌、銀小縁。縁・鞘口:山銅銀小縁(鎬を立てる)。
筒金(柄・鞘共):山銅銀小縁。目釘座:山銅花菱透銀覆輪、地板鍍金。覆輪(柄・鞘共):山銅地同文銀平象嵌。
鐔:山銅地障泥形、銀覆輪。
大切羽・切羽:山銅鍍金。

(参考文献:日本刀大百科事典より転載・引用・抜粋)

(法量)
長さ 1尺4寸9分(45.0cm)
反り 4分6厘(1.4cm)
茎長さ 4寸3分2厘(13.1cm)