現在は殆どの刀には「登録証」がついており、その登録は国によって管理されています。一般に登録証と呼んでいますが正式には「銃砲刀剣類登録証」といい、戦前にはなかった制度で、戦後になって施行された銃砲刀剣類所持等取締法に拠っています。「銃砲刀剣類」と、銃と刀剣が一括して書かれていますので、両者同等に取り扱われそうですが、内容は銃と刀剣では、まったく別個のものです。片方の銃に対しての取締法は大変きびしく、持つ人・保管場所・警察の届け出、など細かく規程または指導されておりますが、刀剣の方に関しては大分ゆるやかで、危惧することろは一つもありません。警察への届け出も、新規発見の時を除いて必要なく、登録証さえついていれば、所有も、売買も、譲りわたし、また譲り受けも問題はありません。
ただ、すべての刀に登録証が付くわけではありません。戦後の昭和26年3月頃(早いところは25年末)から、ほとんどの都道府県が一斉に刀剣に対して登録証の交付を始めました。しかし、いわゆる昭和刀と呼ばれる日本刀本来の鍛錬がなされていない急造の粗悪刀(戦時中に軍刀の急激な需要に応えて数多く製造された未鍛錬の刀のこと。鋳鉄製であったり、刀の焼き入れが油焼きであったりする)には交付されておりません。つまり、登録証が交付される刀は、古いの新しいの時代は問いませんが、あくまで本来の日本刀鍛錬法に依る刀にだけです。
戦後、百万本以上あったという刀を、すべて追いかけて登録証を発行するというのですから、お役所の方も大変な手間だったと思います。現在、昭和26年からだいぶたち、ほとんどの刀には登録証がつき、その発行交付数は約百九十万本といわれています(古銃砲の分、喪失による再発行分、また外国帰りの刀も数多いため)。そのため、現在刀剣を新規登録するという数は大分減りました。しかし、まだまだ知らずに眠っている刀はあります。その場合は新規発見として登録証をとらねばなりません。

刀を新規に見つけた時、刀をご自分の所轄の警察署の防犯課にもっていきます(交番ではない)。田舎で見つけて東京の警察署に届け出るのは認められず、発見した所の警察署に出すのが規則です。防犯課では、銘や長さを記入した「発見届け」というのを発行してくれます。そして、いついつ都庁なり、県庁なり登録審査会場に刀と「発見届け」とをもって行き、登録証を発行してもらうよう指示してくれます。警察で直接登録証をくれるわけではなく、また登録審査会場に刀だけすぐに持ち込んでも駄目なわけで、登録証を貰うには2ステップを踏まねばならぬわけです。なお、前述で昭和刀には登録証がつかない、と申し上げましたが、その判断をするのは登録会場の登録審査委員であり、「発見届け」発行時の警察の方ではありませんので、ご記憶下さい。
登録審査日は以前はまめにあったようですが、現在は東京でも月に一度です。他の県では2ヶ月に一度というところもあるようです。これも、現在ほとんどの刀に登録証がついてしまったということからです。手数料は東京の場合、1件につき、6,300円です。
なお、刀の登録証は交付を受けた人に付随するものでなく、刀に付随します。ですので刀をお譲りになる時は登録証もわたします。また、譲り受ける方も、その登録証がついていれば新しく登録証をとる必要はありません。やるべきことは「名義変更」だけで、登録証はその刀に常時付随して動くことになります。

刀を売買・譲り受けした時、所有者の変更届けを出します。登録証自体には、番号・長さ等が記入されているだけですが、登録している各都道府県には台帳があり、その番号のところに前所有者の名前(最初に登録した人の名など)が記入してあります。つまり、刀の登記簿謄本ともいえるものが各都道府県にあるわけです。そこに書類を提出し、所持人の名前を変えてもらいます。これを「名義変更」と呼んでいます。
届け出はいたって簡単で左記のような書類を、登録証に書かれている都道府県の各教育委員会に郵送すればこと足ります。持ち主がどこの県に住んでいようとも、提出する宛先はその登録証にある県の係りですので、ご注意ください。

登録証を失くしたり、破いてしまった時は、登録番号・発行年月日が分れば再発行してもらえます(有料)。コピーなり控えをとっておくことをおすすめします。この問い合わせ先も、その登録証の県の教育委員会事務局です。

刀剣の買取の際には必ず登録証がお手元にあるかどうか今一度お確かめください。買取をお申し込みされる方が刀剣の所有者として名義変更されているのが最も望ましいですが、ご家族や第三者の方の場合はご相談くださいますようお願い致します。
買取させていただいた刀剣の登録証は、当店で各都道府県教育委員会に照会し、店主の名前で名義変更させていただきます。お客様で名義変更を行っていただく必要はありません。

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