日本刀とは、固有の製造工程を経て作られる刀のことです。また、平安後期から発達した一定の様式を持つ刀も含みます。

切れ味が鋭く見た目にも美しい日本刀は、古来より美術品として扱われると同時に権力や名誉の象徴でもありました。海外でも人気が高くコレクターも存在するほどです。

今回の記事では、日本刀の売却を検討する方のために、買取前に知っておきたい基本知識として、日本刀の特徴や作られた時代による違い、鑑定書の種類、買取時のポイントを解説します。先祖代々受け継いできた大切な刀の価値を知るための参考にしてください。

 

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日本刀の特徴

日本刀の主な特徴を6つご紹介します。

関連ページ:日本刀のできるまで

刀身が孤状に反っている

現在主流となる日本刀は刀身が弧を描きます。平安時代中期以前は反りのない「直刀」が使用されていましたが、平安時代初期頃になると「直刀」よりも相手を斬るのに向いている、弓のように弧を描いた「湾刀(わんとう)」と呼ばれる刀が主流となります。「湾刀」はのちに「太刀」と呼ばれるようになり、広く普及していきました。

 

軽い、折れない、よく斬れる
日本刀は軽いうえに折れにくく、鋭い切れ味を持ちます。刀身は薄く細いため、重さは1kg程度しかありません。切れ味のよさや折れにくさは、鉄を鍛錬しているのが理由です。刃の部分を形成する皮鉄(かわがね)と、刀身の芯の部分となる心鉄(しんがね)を別々に鍛錬してから一体化させているため、折れにくくなっています。しかしながら刀身は薄く細く作られているので、軽いものですと重さは約1kg程度しかありません

 

4部構造になっている
日本刀は主に「刀身」「鍔」「柄」「鞘」の4部構造になっています。鍔、柄、鞘は拵(こしらえ)ともいい、主な目的は刀身の保護です。それと同時に家柄や身分を象徴する部分でもあります。拵は美術的な観点からいっても重要な部分で、日本刀の魅力の1つです。特に鍔は繊細な細工や作りが多く、単独でコレクションしている人もいます。

 

長さによって呼び名が違う
日本刀は刀身の長さによって呼び名が違います。刀身の長さの単位は尺で示し、1尺はおよそ30cmです。刀身の長さが異なるのは当時の戦い方に合わせたのが理由です。ですから、日本刀を見れば時代背景がわかります。広くいえば薙刀(なぎなた)や槍も日本刀の一種です。

刀身の長さ(1尺およそ30cm) 名称
刃渡り2尺以上

 

太刀(たち)

大太刀(おおたち)

刃渡り1尺以上2尺未満 脇差(わきざし)
刃渡り1尺未満 短刀

 

刃文がある
刃文とは、焼き入れによってつけられた焼き刃の形状で、日本刀の価値や美しさを鑑定するうえで重要なポイントです。焼き入れとは、刀身に焼き刃土という土を塗って焼き、急激に冷やす作業のことです。日本刀の鋭い切れ味と折れにくさを実現するのに欠かせません。刃文は白い波のような模様をしており、時代や刀匠によって形状に違いが出ます。

 

素材が鋼である
日本刀は玉鋼(たまはがね)と呼ばれる鋼を用いて作られています。玉鋼は、たたら製鉄によって生産されている鋼で、純度が高く材質は均一であり、鍛えるだけで刃金として用いることが可能な優れものになります。日本刀が薄く丈夫で折れにくいのは、玉鋼の高い品質からきています。

 

刀身の主な部位

刀身を構成する部位のなかから5つをご紹介します。

 

峰とは刃のない部分を指し、棟ともいいます。日本刀は基本的に片刃です。片刃のメリットはつばぜり合いのときに自分が傷を負うリスクを回避できることと、手を添えて体重をかけて切れることです。

 

鎬(しのぎ)

鎬とは刀と峰のあいだのふくらみです。鎬にある線を鎬筋といい、鎬筋と峰のあいだは鎬地といいます。激しい争いを指して「鎬を削る」といいますが、これは刀の鎬が削れるほど斬り合う様子からきています。

 

樋(ひ)

樋は刀の両面の鎬地と峰のあいだにある1~2本の溝です。刀の軽量化を実現しながら剛性も維持できるほか、付着した血液を流す役割も果たします。また、刀身の傷を隠すために掘られることもありました。

 

茎(なかご)

茎とは、刀身のうち柄に収まる部分のことです。茎には柄と固定するための目釘をはめる穴が開いており、これを目釘穴といいます。また、茎は刀の作者や所有者、試し切りの成果が刻まれていることもあり、価値を知るうえで大変重要な部分です。

 

刃文

刃文は刃と地の境目に現れる模様です。刃文は大別すると直線と曲線ですが、直線の幅や曲線の現れ方の異なるさまざまな模様があります。焼き刃土は模様や切れ味にも影響を及ぼすため、刀工の腕前が問われる部分です。大別すると直線的な「直刃(すぐは)」と曲線的な「乱刃(みだれば)」があります。

 

日本刀の種類

日本刀は作られた時代によって、それぞれに特徴があります。

刀の種類 作られた時代
古刀 平安時代中期から安土桃山時代の末期
新刀 安土桃山時代の末期から江戸時代中期
新々刀 江戸時代後期から明治9年
現代刀 昭和から平成にかけて

 

古刀

古刀とは平安時代中期から安土桃山時代の末期までに作られたものです。平安時代中期から戦うときは騎馬戦が主流になり、馬に乗っていても簡単に抜けるように弧を描いた湾刀が用いられました。日本刀の基本となるこの形を鎬造(しのぎづくり)といいます。

 

新刀

新刀が作られたのは安土桃山時代の末期から江戸時代中期にかけてです。新刀は刀身の反りが浅く、地鉄(じがね)が整っています。また、刃文が絵画的な美しさを持つようになり、装飾的な彫り物が増えたのも特徴です。

 

新々刀

新々刀は江戸時代後期から明治9年までの刀を指します。幕末の時代ということもあり、実戦向きの刀が多く作られたのが特徴です。そのため刀身の幅が広く、反りも深くなっています。

 

現代刀

現代刀とは、昭和から平成にかけて人間国宝を中心とした刀匠が作る刀です。明治時代の初期には廃刀令によって帯刀が禁じられましたが、作ることは禁じられていませんでした。ですが第二次世界大戦後は、GHQによって日本刀は作ることも所持することも禁じられます。これが日本側の働きかけによって美術品と認められ、技術を継承できるようになりました。

 

日本刀の格付け

日本刀のなかには、名物や業物(わざもの)といわれているものがあります。また、日本刀そのものの格付けとして位列があります。これらの違いは、格付けの対象です。

格付け 格付けの対象
名物や業物 刀工
位列 日本刀

関連ページ:高価買取品目

 

名物

名物はもともと茶道で使われていた言葉ですが、日本刀においては「享保名物帳」に記載されたものを指します。いわば名刀のリストであり、編纂を命じたのは徳川吉宗です。編纂したのは本阿弥光忠(もとあみこうちゅう)という日本刀の研磨を生業にしていた人物で、全国の諸大名から収蔵を報告させてまとめました。ただし、享保名物帳はすべての名物が記載されているわけではありません。所有する名物を徳川幕府に没収されることを危ぶんで、隠す大名もいたのが理由です。

 

業物

業物とは、切れ味のよい日本刀を指します。戦のときに武士の命を左右するものとして刀剣の切れ味は非常に重要です。刀の切れ味を確かめる方法は、鑑定家による見解と試し切りです。試し切りの際は罪人の死体を利用しました。試し切りを務めた山田浅右衛門(やまだあさえもん)とその師である須藤五太夫(すどうごだゆう)が、業物を4つの位で格付けしました。格付けされた刀は、1797年に発行された「懐宝剣尺」(かいほうけんじゃく)にまとめられています。

・業物
・良業物(よきわざもの)
・大業物
・最上大業物

関連ページ:最上大業物

 

位列

位列とは、日本刀の等級を示したものです。本来、日本刀の等級を決めるのは困難を極めます。ですから、位列を決めるときは古書を参考に刀の作られた時代で分類していました。ただし、時代の移ろいとともに位列も変更されることがあります。

位列は5段階です。
1.中作
2.中上作
3.上作
4.上々作
5.最上作

現代の位列は、昭和時代に鑑定と研磨をおこなっていた藤代義雄氏が独自の視点と角度で位列をつけ、弟子の柴田光男氏がそれを補足した一覧で決まります。

 

日本刀の鑑定書の種類

 

日本刀の鑑定書の種類は4つです。いずれも公益財団法人「日本美術刀剣保存協会」から発行されるものであり、ランクが定められています。このほかに貴重刀剣、特別貴重刀剣といったものもありますが、現在は廃止されています。手元の鑑定書にこれらの記載があるときは再鑑定を申請してください。日本刀は国による鑑定もおこなわれており、該当するのは国宝や重要指定文化財などです。

 

保存刀剣

保存刀剣として選ばれるのは、次の3つの要件を満たしている刀です。

・正しい銘が切られていること
・無銘の場合は時代や国などが特定できること
・大きな傷やさびによって美観を損ねていないこと

この基準の対象となるのは、江戸時代までに作られた日本刀です。明治、大正時代よりあとに制作された刀の場合は在銘で出来がよく、優れたものであることが条件です。存命の作家による作品は対象外ですので注意してください。

 

特別保存刀剣

特別保存刀剣として選ばれるのは、保存刀剣のなかでも優れた出来栄えかつ保存状態のよいものです。明治、大正時代よりあとに作られたものも選ばれることがあります。ただし、刀の出来にかかわらず傷や補修が目立つものは対象外です。

 

重要刀剣

重要刀剣に選ばれる刀が作られた時代は、平安時代から江戸時代までです。特に保存状態がよく、国が認定する重要美術品に準ずると判断されるものが選ばれます。これらを満たしたうえで南北朝時代を下らないのであれば無銘のものも合格対象です。室町時代以降の刀は在銘であること、江戸時代に作られたものは原則として生ぶ茎(うぶなかご)、在銘であることが条件です。

 

特別重要刀剣

特別重要刀剣は重要刀剣よりも傑出した出来で、保存状態が優れているものを指します。資料的価値が極めて高く、国指定の重要文化財に準ずる価値があると判断されたものが選ばれます。

 

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買取時の確認ポイント

鑑定書の有無だけではなく、日本刀を高額で買い取ってもらうために重要なポイントが4つあります。

関連ページ:日本刀買取の流れ

 

刀剣鑑定書の有無

刀剣鑑定書の有無によって、売却額は大きく異なります。手元に鑑定書がないときは、手放す前に日本美術刀剣保存協会へ審査を依頼するようおすすめします。鑑定書には「保存刀剣」「特別保存刀剣」「重要刀剣」「特別重要刀剣」の4種があります。

登録証の有無

登録証とは、銃砲刀剣類登録証のことです。日本刀を譲渡、相続、購入するときは教育委員会が発行する登録証が必要です。登録証のない日本刀の売買は法律で禁じられています。もし登録証を紛失したり汚れや破損で内容がわからなかったりする場合は、再発行の手続きを取ってください。登録されていない日本刀の場合は、まず警察署の生活安全課へ連絡して刀剣類発見届出済証を申請します。経緯を説明したあと、手続きの方法を教えてもらえます。

 

作られた年代

刀の素材である玉鋼は、年代が古いほど品質が高いといわれています。もっとも質が高い玉鋼を使用した刀は、平安時代中期から安土桃山時代の末期のものです。

 

保存状態

日本刀における保存状態とは、さびや傷の有無です。より高値がつくのはさびも傷もないものですが、傷やさびがついても味があるとみられれば評価されます。ただし、できる限り自分でさびを落とすのは控えてください。日本刀のさびを落とすのには知識と技術が必要で、不用意に触るとかえって価値を落とします。はじめから売却すると決めている場合はそのままにしておくほうが無難です。日本刀のさびを落とすときは研師に依頼してください。ただし、費用は数万円から数十万円かかります。

 

世間の流行

世間の流行とは例えばアニメ、映画など日本刀を扱う作品が注目を集めることです。このような場合、作品に登場した刀の査定額も上昇します。他の要因で注目を集める可能性もあるため、売却を検討し始めたら、1度インターネットで調べてみることをおすすめします。

 

付属の刀装具

刀装具は、拵に付属する装飾金具の一式です。刀装具は金や銀などでできており、刀剣の所有者の地位や権力を示します。主な刀装具には「鍔」「柄」「鎺(はばき)」「目貫(めぬき)」「笄(こうがい)」「小柄(こづか)」「縁頭(ふちがしら)」「柄巻(つかまき)」があります。刀装具の絵柄がそろっている刀はよい刀とされ、刀装具のみでも価値があります。また、鞘書きといって、白鞘に文字が書かれている場合は高い査定額が期待できます。

 

茎から読み取れる情報

茎とは、柄に収められている部分です。茎にはその日本刀に関する重要な情報がつまっており、鑑定では非常に重視すべきポイントです。茎から読み取れる情報は7つあります。

 

作者や作刀年代

茎には基本的に作者の銘が刻まれています。ただし偽作もあり、本人の作であるという保証にはなりません。また、仮に銘が刻まれていても後世の加工で消えていることもあるので注意してください。作刀年代は銘の反対側に刻まれていることがあります。

裁断銘(さいだんめい)の有無

裁断銘とは試し切りの結果を、切った人物の名前と一緒に茎へ刻んだものです。両断した遺体の数によって、銘の内容が変化します。裁断銘には「一ツ胴」「二ツ胴」「三ツ胴」などがあります。ただし、江戸初期と江戸末期では名称は同じでも裁断する部分が異なるため、ほかの要素も含めた総合的な判断が必要です。

所有者

所有者や刀の作成を注文した人の名前が刻まれていることもあります。

本来の刀身の厚み

刀は研磨を繰り返すうちに刀身が細くなりますが、茎は当時の状態で残っているため本来の刀身の姿がわかります。

磨上(すりあげ)の有無

磨上とは、所有者に合わせて茎を短くして使いやすくすることです。磨上はどれだけ短くするかによって名称が異なります。

名称 磨上の程度
磨上

 

茎を切って短くするが銘の一部もしくはすべてを残したもの
大磨上 銘が残らないほど磨り上げたもの
折り返し 無銘にならないように銘の部分で折り返したもの
額銘 銘の部分を切り取って作業後に茎に埋め込んだもの

 

拵を作った回数

拵を作った回数は、茎に空いた目釘穴を見ればわかります。例えば、茎に目釘穴が3つ開いていれば拵が作られた回数は3回です。拵の素材が貴重なものであったため、刀身に目釘穴を追加していたのが理由と考えられています。

工作の有無

刀が作られた時代や作者を偽るために、人工的にさびつかせたり継ぎ目を作ったりした刀も存在します。茎は時代の経過とともにさびがつき、色も変化します。あとから人工的にさびつかせたものは、薬品のにおいがします。茎の形状でいえば、特に折り返し茎の折り返しに継ぎ目のあるものは要注意です。このような痕跡の有無を確認するときは、特に「さびの落ち着き方や色」「におい」「茎の形状とバランス」という3つのポイントに注意してください。

 

まとめ

固有の製造工程で作られる日本刀は、美術品として国内外から高い関心を寄せられています。時代によって刀身の形状が異なるのは、その時代の戦い方に合わせたのが理由です。武器としてだけではなく美術品としての価値もある刀は、ときに高額で売買されることもあります。

 

大切にしてきた刀を手放すときは、はじめに登録証と鑑定書の有無を確認してください。鑑定書がないときは、日本美術刀剣保存協会へ審査を依頼するようおすすめします。また、保存状態や刀装具も確認してください。鞘に文字が書かれている場合も高額査定が期待できます。名物や業物とされる刀も同様です。

 

つるぎの屋では、刀剣の買取に関するご相談を承っております。不明点がございましたらまずはお気軽にお問い合わせください。

 

 

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