出羽国の刀工・大慶庄司直胤による文化1十一年春頃の一振りです。花押が入っているほか、太良蔵という人物が「腰車土壇拂」という試し斬りを行った刀としても知られています。

長さは約70.8センチ(二尺三寸四分)、反りは約2.4センチ(七分九厘)。造り込みは鎬造りで、棟は庵棟、切先は中鋒となっています。反りが高く、地鉄には細かな板目肌に杢目肌が交じり、映りも現れています。

刃文は逆がかった互の目で足が入り、帽子は乱れ込みながら小丸に返っています。また、刀の表裏には棒樋が彫られています。

直胤は銘を太刀銘で切ることが多く、この刀も太刀銘となっています。初期には濤瀾刃※2の作品もあり、壮年期には逆がかった互の目丁子の刃文を多く手掛けました。この逆互の目は、備前兼光の作風を取り入れたものであり、師である水心子正秀の実用重視の刀剣論から生まれた復古刀の表れと考えられます。

また、板目肌の中には渦巻き状の杢目肌が二、三か所現れていて、これは直胤ならではの特徴です。この時期の作品は、姿も地刃も優れたものが多く、文化十二年紀の一振りは重要美術品に指定されています。

※1 文化

文化年間(1804年~1818年)頃。

※2 濤瀾刃

波が打ち寄せるように豪快な刃文。

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