紀伊国は南海道に属しますが、大和国の西隣に位置しており、その刀工の系統は大和伝の流れを汲むものと考えられています。

系図と刀工

「古刀銘尽大全」には、紀伊国において重要な位置を占める入鹿系※1を中心とした系図が掲げられています。

主要刀工と作例

光長
応和※2頃の刀工とされ、奥州舞草の系統に属し、その後大和国へ移り住んだと伝えられています。

實經

建保※3頃の刀工とされ、同銘二代の存在が指摘されています。一本には貞応※4年紀が確認されます。

實次
建保頃の初代に続き、後代は応安※5頃、さらに応永※6頃にも同名の刀工が存在したとされ、複数代にわたって継承されたと考えられます。

これらの系統に属すると考えられる作例として、太刀や短刀、槍などが確認されます。例えば永禄※7九年二月日の年紀を持つ、入鹿系後代、または同系統名を継いだと考えられる實正の作は、刃長約70.6cm(二尺三寸三分)、反り約1.2cm(四分)で、姿は鎬造で庵棟を備え、中鋒です。地鉄は小板目肌が詰み、浅く地沸が付き、刃文は湾れ刃で匂口が締まります。帽子は表裏とも直ぐに小丸に返ります。

その他の刀工

このほか、「古刀銘尽大全」などの文献や押形資料から、弘安※8頃の實守、正応※9頃の仲眞、貞治※10頃の景宗、応永※11頃の景實、文明※12頃の家續、永正※13頃の仲國・實高、文亀※14頃の實可、慶長※15期まで数代続いたとされる天狗、天正頃の吉重など、多数の刀工の存在が伝えられています。

 

※1 入鹿系
紀伊国を中心に活動が確認される刀工系統を指す。

※2 応和
応和年間(961〜964)頃。

※3 建保
建保年間(1213〜1219)頃。

※4 貞応
貞応年間(1222〜1224)頃。

※5 応安

応安年間(1368~1375)頃。

※6 応永

応永年間(1394~1428)頃。

※7 永禄
永禄年間(1558〜1570)頃。

※8 弘安
弘安年間(1278〜1288)頃。

※9 正応
正応年間(1288〜1293)頃。

※10 貞治
貞治年間(1362〜1368)頃。

※11 応永
応永年間(1394〜1428)頃。

※12 文明
文明年間(1469〜1487)頃。

※13 永正
永正年間(1504〜1521)頃。

※14 文亀

文亀年間(1501~1504)頃。

※15 慶長
慶長年間(1596〜1615)頃。

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