脇指 銘 長曽祢興里虎徹入道について
「脇指 銘 長曽祢興里虎徹入道」は、長曽祢虎徹の若作にあたる一振りです。万治※1四年の終わり頃か、寛文※2元年の初め頃に作られたものと思われます。身幅が非常に広く、全体の寸法は短めに詰まり、鋒が大きいのが特徴です。かなり独特で風変わりな造り込みに見えますが、これは彼の初期作品によく見られます。しかも、それが不自然さや奇抜さを感じさせないところに、虎徹の卓越した技量がうかがえます。
地鉄は美しく整い、刃文は緩やかに波打ちながら、ところどころに互の目の変化を交えています。また、匂口が深く、小沸もよくついているのも特徴です。さらに足がよく入っており、この時代の特色をよく表した、典型的かつ代表的な一振りといえます。
虎徹が中年になってから刀工へ転じたにもかかわらず、瞬く間に名声を高めた理由は、大きく三つあります。第一は地鉄の鍛錬に優れ、切れ味が抜群であったこと、第二は斬新な刃文を創出したこと、第三は優れた刀身彫刻の技術を持っていたことです。これらは、彼が甲冑師であった時代に身につけた技術を、刀作りに応用した結果と考えられます。
また、切れ味の保証という点では、試し斬りの名手として知られる山野一門の協力を、他の刀工に先駆けて得ることができた点も大きいでしょう。
※1 万治
万治年間(1658~1661)頃。
※2 寛文
寛文年間(1661~1673)頃。
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