吉岡一文字の作風と特徴
吉岡一文字は福岡一文字の末流で、備前吉岡に住んだことから、その名で呼ばれています。系図には多くの刀工が記されていますが、現存する作品は少ないとされています。吉岡一文字の祖とされる助吉は、吉岡一文字助宗の孫と伝えられています。
重要刀剣
太刀 銘 備前國吉岡住人左兵衛尉助茂 延慶□年二月日
助茂による一振りです。長さは約78.8センチ(二尺六寸)、反りは約3.3センチ(一寸一分)。鎬造り、庵棟で反りが高く、切先は中鋒となっています。
地鉄は板目肌が流れ、地沸がつき、映りが立っています。刃文は直刃に小丁子がよく交じり、小足や逆ごころが見られます。帽子はわずかに乱れ込み、尖りごころとなって返っています。
国宝
薙刀 銘 備州吉岡住左近将監紀助光 元應二年庚申十一月日
助光による国宝指定の薙刀です。長さは約56.4センチ(一尺八寸六分)、反りは約2.6センチ(八分五厘)。冠落造、三ツ棟で、反りは少なくなっています。
よく詰んだ小板目肌には乱映りが立ち、刃文は小丁子に小互の目が交じって逆がかります。物打付近では直刃調となり、全体に足や葉がよく入っています。また、表裏には薙刀樋と添樋が彫られています。
脇指 銘 備州吉岡住助秀 正平※1十八年七月日
助秀による脇指です。長さは約34.2センチ(一尺一寸三分)、反りは約0.3センチ(一分)で、平造、庵棟となっています。
この作品は、姿や刃文が相伝備前によく似た珍しい作例とされています。地鉄は板目肌でところどころ流れ、地映りが見られます。刃文は匂出来の小互の目乱で、足が入り、帽子は小丸に返っています。
作風
姿
太刀が多く、まれに小太刀も見られます。脇指や短刀は少なく、薙刀も製作されています。太刀は腰反りまたは輪反りで、反りが高く、踏張りが強い姿となり、鋒はやや詰まり気味です。
地鉄
地鉄は福岡一文字と比べて細かく、やや弱い印象を与えるものがあります。また、地映りが見られるのも特徴です。
刃文
助光の作品には、福岡一文字と同じように華やかな大房丁子を見せるものがあります。そのほか、尖りごころの丁子刃、小乱に逆ごころのあるもの、互の目乱、直刃に足が入るものなど、さまざまな刃文が見られます。
これらは匂出来で、刃縁は締まりごころとなっています。ここでいう「締まりごころ」とは、沸や匂が細く浅い状態を指します。
帽子
帽子は小丸や乱れ込みとなるものがあり、なかには焼詰風のものも見られます。
茎
茎は長く、平らな形に肉がつき、先が細くなっています。「一」の下に「備前国吉岡住左近将監紀助光」などと長い銘を切るものが多く、この時代から年号銘のある作品も見られます。
吉岡一文字の主な刀工と特徴
吉岡一文字には、助吉を祖として助茂・助光・助義・助秀などの刀工がいます。なかでも助光には、福岡一文字と同様の華やかな大房丁子を見せる作品も伝わっています。
※1正平
正平年間(1346年~1370年)頃。
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