姫鶴一文字(ひめつるいちもんじ)

  • 指定:重要文化財
  • 太刀 銘 一 (号:姫鶴一文字)
  • 米沢市上杉博物館蔵
  • 長さ 2尺3寸6分5厘(71.66cm)
  • 反り 7分(2.12cm)

 

 

姫鶴一文字は上杉景勝公御手選三十五腰の一つに数えられ、天正十六年(1588)の押形本に掲載され、「姫つる一文し也」「上々 百貫」、と注記がある。昔、これを磨り上げのため、研師に出したところ、その夜の夢に美しい姫君が現れ、助命を嘆願した。二晩同じ夢を見たので、上杉家の刀剣係にその話をしたところ、それも同じ夢を見た、というので、磨り上げを取り消した。その姫が、自分の名は「ツル」といったので、以後、その刀を姫鶴一文字、と呼ぶようになった、という伝説がある。
明治14年、明治天皇が米沢に巡幸のさい、姫鶴一文字を天覧に供したところ、絢爛たる刃文がすっかりお気に召したとみえ、押形が欲しい、とのお言葉があったので、詳細な刀絵図を書いて献上したという。
明治28年、今村長賀翁が上杉家の蔵刀の調査を行った。
「無類の華美なる出来、御拵前に同じ。 上々」と評されている。

「上杉景勝自筆腰物目録」には「上ひざう(上秘蔵) 一ひめつる一もんし(姫鶴一文字)」
上杉家の刀剣台帳は乾号、坤号にわかれ、姫鶴一文字は乾号に記載がある。「第3号 太刀 一 姫鶴一文字 2尺3寸7分 合口形打刀拵 景勝上秘蔵 御重代 三十五腰の内」

備前一文字派は、鎌倉時代初期から南北朝期にかけて備前国に栄えた一大流派で、この派が一文字と呼称される所以は、茎に「一」の字を刻すことに因るが、銘は「一」の字だけのものの他に、「一」野路の下に個銘を加えるもの、また個銘だけのものもある。同派の作域は、初期は丁子よりも小乱れが目立ち、総じて古備前風であり、中期に至って華麗な丁字乱れの刃文があらわれ、地には鮮やかな乱れ映りが協調された出来口を展開する。姫鶴一文字は鎌倉中期頃の後者作域となる。

形状は、鎬造、庵棟、身幅広め、先身幅やや減じ、刃肉豊かにつき、腰反りが高く、踏張りがあり、中鋒猪首風となる。鍛えは、板目に杢交じり、処々流れ、総体に肌立ちぎみであり、乱れ映り鮮明に立つ。刃文は、丁字乱れ、焼幅の深浅めだち、袋丁子・大房丁子・重花丁子・互の目などを交えて変化に富み、殊に佩裏は一段と大模様に乱れ、やや逆ごころがあり、飛焼・棟焼かかり、匂口やわらかく、足・葉入り、匂主調で小沸つき、物打辺と腰元にやや目立って沸つき、僅かに砂流し・金筋かかり、匂口よく冴える。帽子は、佩表はのたれて大丸ごころに返り、裏は焼深く一枚風となり乱れ込み尖りごころに返る。茎は生ぶであるが尻を切り詰め、先浅い栗尻、鑢目浅い筋違、目釘孔三(中一埋)。

附属する黒漆合口打刀拵は、同じく上杉景勝公御手選三十五腰の中に数えられる山鳥毛(国宝)や高木長光(重文)の拵と同じように鐔を用いない合口としたもので、桃山期の打刀拵の様式としては上杉家独特の個性的なものとなっている。

黒漆合口打刀拵拵
総長:104.4cm 総反り:4.6cm 柄長:23.2cm 鞘長:81.8cm 鞘反り:2.8cm
頭縦:3.8cm強 縁縦:3.85cm 鞘口縦:3.8cm強 鐺縦:3.7cm弱
鞘口~栗形:7.5cm強 栗形~返角:13.7cm
柄:黒塗鮫、藍韋平巻
鞘:黒漆塗、両櫃、肉薄く鐺にて張る
頭:角 縁:赤銅磨地樋入
目貫:赤銅葡萄栗鼠容彫
笄:赤銅馬具図高彫 小柄:鉄共小柄、梅花文銀象嵌透、小刀銘国助

(参考文献:日本刀大百科事典より転載・引用・抜粋)

(法量)
長さ 2尺3寸6分5厘(71.66cm
反り 7分(2.12cm)
元幅 1寸強(3.05cm)
先幅 6分3厘(1.9cm)
元重ね 2分(0.6cm)
先重ね 1分3厘(0.4cm)
鋒長さ 9分弱(2.7cm)
茎長さ 4寸8分5厘(14.7cm)
茎反り 1分(0.3cm)