粟田口国安は、兄に国友、久国、国清、弟に有国、国綱を持つ粟田口六兄弟と呼ばれる名工の一人として有名な刀工です。現代に残っている太刀は10口ほどであり、これは多いほうだと言ってよいでしょう。その中でも代表的な作風がみられる太刀が「国安」と言われるものです。
長さは約79cm(二尺六寸二分)、反りは約2.7cm(九分)。様相は前時代の特徴をそっくりと踏襲しています。細身、庵棟(よみ:いおりむね)、鎬造(よみ:しのぎづくり)、といった特徴を示す太刀姿に、小鋒(よみ:こきっさき)で腰反り(よみ:こしぞり)が高く踏張り(よみ:ふみはり)があるという点や、物打辺より上部の反りが、ぐっと起きあがり、うつむいたような加減が見られる点は、前時代のものと大きな差は見られないと言えるでしょう。
注目すべき特徴として強いて挙げるとすれば、同じ小鋒とされながらも前時代のものよりも若干大きいということが挙げられます。
板目が若干肌立ちごころとなっている鍛は、地斑(よみ:じふ)が交じり、地沸がつき、浅く湾れ調で物打上は焼幅がやや広く、全体にも匂深くうるみごころがある刃文は、小沸もついて小乱こずんで足よく入り、ところどころに金筋(よみ:きんすじ)がかかっています。小丸に返った帽子もみどころ特徴の一つと言えるでしょう。

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