「日州古屋之住實忠作 永禄※1十二年五月十五日」と銘のある本作は、實忠による優れた短刀の一振りです。永禄十二年に作られたもので、長さは約29.4センチ(九寸七分強)、反りはごくわずかです。姿は平造・庵棟で、わずかに反りがつき、やや寸延びの造りとなっています。

地鉄は板目肌が流れるように現れ、よく詰んでいます。地沸がつき、地の表情には奥行きが感じられます。刃文は小のたれを基調とし、互の目が交じる変化のある構成です。足や葉が入り、砂流しもかかるなど働きが豊富で、沸もよくつき、匂口は冴えています。全体として動きのある中にも整いがあり、完成度の高さがうかがえます。

本作には、表裏ともに刀樋に添樋が掻かれており、さらにその下に三つずつ梵字が配されています。こうした彫物は装飾的な要素だけでなく、信仰的な意味合いを持つ場合があるのも特徴です。

實忠の評価と位置づけ

實忠は古くから、堀川国広の祖父と伝えられてきました。しかし、現存する作刀や年紀を踏まえると、年代的にやや無理があると考えられています。ただ、作風は国広と非常に似ており、関連性の深さがうかがえます。確認されている複数の作例はいずれも出来が良く、本作はその中でも特に完成度の高い一振りと評価されています。

※1 永禄

永禄年間(1558~1570)頃。

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