「刀 金象嵌銘 城和泉守所持/正宗磨上本阿 花押(光徳)」の作者である正宗は鎌倉時代を代表する名工です。江戸時代初期の刀剣鑑定家である本阿弥光徳(ほんあみこうとく)により「正宗作」と鑑定された本作は、慶長十四年六月に埋忠寿斎(うめただじゅさい)の手によって磨上げられた後に、頭書の金銘が施されました。

長く津軽家に伝来した刀であり、さらに古くは甲斐の武田家中にあったことがわかっています。深いうるおいを見せる地景に、星のきらめきのような力強い沸(にえ)が巧みに作用しあった美しいこの刀は、正宗の数ある作の中でも飛びぬけた逸品とされています。

 

長さはおよそ70.6センチ(二尺三寸三分余)、反りはおよそ2.2センチ(七分三厘)です。鎬造で庵棟の刃の地鉄は、小板目肌がつんで地沸が厚くついています。沸本位の小乱を交えた湾れ(のたれ)乱刃の刃文には、地景があらわれ湯走りがあります。表裏の物打より上部は、焼幅がせばまって直刃状となっています。刃中に足・葉が入っていることで、金筋のはたらきが目立つ立ち姿となりました。

帽子は掃掛けて焼詰め風となっており、返りはほとんどありません。茎は先剣形で、大磨上げでしあげられ、目釘孔(めくぎあな)が一つ打たれています。

日本刀や刀剣の買取なら専門店つるぎの屋のTOPへ戻る