岐阜県の関市に住むI といいます。私は郷土刀がたいへん好きで、なかでも郷土刀では志津三郎兼氏が最高であるので、ぜひ一振り欲しいと念願していました。ところがある日に志津の名刀を手に入れることができ長年にわたり愛蔵してきました。しかし、私も年齢を重ねるにつれて刀を手入れしていると重いと感じるようになってきました。いざ手放すとなると共に過ごした時間も長かったので辛いものがありますが、新しい持ち主の方に志津の刀も可愛がって大切にしてもらえれば幸せでしょう。

岐阜県の旧国名は美濃国と飛騨国いいます。
美濃国は東山道十三カ国の一つで、現在の岐阜県の南半部、古くは三野・御野・三乃・美乃などと書きます。略して美州ともいいますが、刀工はすべて濃州を用いました。「延喜式」によれば、各国が毎年製作して朝廷に納める武器のうち、横刀は美濃に二十振り割り当てられていました。二十振りが最高で、それは九カ国に過ぎませんでした。美濃もその中に含まれていたから、美濃は古くから刀剣の供給地だったことになります。しかし、鉄は貢納していないから、鉄の産出はあまりなかったことになります。
土岐氏は光衡が正治(1199)の初め、美濃の守護に任じられてから、戦国末期に至るまで、その職にありました。正中(1324)の変の口火を切った土岐頼兼・多治見国長は、ともにその子孫でありました。それに引き続く元弘(1331)の乱になると、土岐氏は足利尊氏方について、活躍することになりました。そうした戦乱の世の需要に応じて、美濃にも刀工団が出現しました。それがいわゆる美濃鍛冶であり、作刀が美濃物であって、刀剣界において、備前についてで刀剣王国を築くことになりました。
飛騨国は東山道の一国で、現在の岐阜県北部、古くは斐陀・斐太とも書き、飛州と略します。大永(1521)のころ、この国の西北隅の白川郷(岐阜県大野郡白川村)に、吉次という刀工がいました。ここは初め浄土真宗の照蓮寺の支配だったが、寛正(1460)年中、内ヶ島為氏に横領され、寺も廃寺になってしまいました。永正(1504)年中、照蓮寺が再建され、勢いを盛り返してきました。

美濃物は美濃国居住の刀工、備前鍛冶についで多数の刀工を輩出しただけに、流派も多くに分かれています。
西部派は、青墓の長者が、源氏の重宝「髭切り」を模造させた、という伝説のある外藤は、西郡住とされています。永仁(1293)ごろにくだって、寿命がここに現れ、以後、同名を名乗る刀工が、たとえ住所は清水・関などに変わっても、新々刀期まで続きました。
志津系は、大和の手掻包永が、建武(1334)の争乱の需要に応じて、美濃の南端:海津郡志津に移住してきたもので、包氏は志津三郎兼氏と改名し、正宗十哲の一人に数えられる名声をあげました。
直江志津系は、志津系の二世たちがさらに北上し、養老郡直江に鞴をうつしたもので、兼氏を襲名したもののほか、兼俊・兼久・兼利・兼信らが、室町期まで活躍しました。
赤坂千手院系は、大和国千手院派の国長が、南北抗争の雄叫びに誘われ、不破郡赤坂に移住してきました。国長の後代のほか、単に「千手院」とだけ、銘を切るものもいて、室町中期まで続きました。
金重系は、越前から清泉の僧:金重が、武儀郡関に来住しました。金重は正宗十哲の一人とされていますが、大和から移ってきた兼永・兼光らの系統に吸収され、三代で消滅しました。
関系は、大和から鎌倉末期、兼永が来住、関系の礎を築きました。その跡をうけた兼光が、門人の養成に長じていたとみえ、その門弟が分かれて、いわゆる「関七流」を形成し、互に技を競ったので、美濃鍛冶中の最大派閥に成長しました。関七流とは、兼弘の得栄派、兼則の三阿弥派、兼安の得印派、久阿の奈良派、善吉の善定派、兼在の室屋派、兼宗の良賢派などをいいます。関系の活躍期は室町期が主で、しかも織豊期になると他国への流出が多く、残留組の大部分は、小ガタナや鋏などの製作に転向しました。
蜂谷系は、京の達磨正光が応永(1394)ごろ、加茂郡蜂屋に移住してきたもので、その門下に兼貞が現れ、同名が戦国末期まで数名続きました。
坂倉系は、室町中期、加茂郡坂倉に出現した正吉・正利らの一派は、「正」の字が村正流になっていて、両派の交流を思わせます。
平賀系は、戦国初期、兼宣が関より分派して、加茂郡平賀に独立の旗をたてたものになります。

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