天国(よみ:あまくに)はかつての畿内五国のうちの一つである大和国宇多郡に居住したと伝えられる名工です。大和は四面が山で囲まれ、現在の奈良あたりとなっています。

そんな大和国の天国は刀剣の茎(よみ:なかご)に銘を刻み始めたことで知られ、鍛冶の祖と称されることも多い人物です。

 

その一方で彼の実在に疑問を呈する異説も古くから存在し、『古今鍛冶銘早見出』という書物にも「天国の説は種種あり」との記載が見られます。異説としては、天国は1人の刀工を指す言葉ではなく良い刀を示す銘として切られていた、天国は神社仏閣に奉納する刀に使われる銘である、などがあります。

なお江戸時代、新井白石の「軍器考」には「小烏」なる刀に「大宝三年天国」の銘があると記されています。現代においては形状が非常に似た、宮内庁で管理されている「小烏丸」を確認することが出来ます。ですがこちらは全く磨き上げた様子は全く見られない、いわゆる生ぶ茎で無銘であることが分かっています。先の書籍に記された銘が見られないのです。

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