日本刀は研ぎ方の技術によって、大きく出来が変わります。研ぎ方が下手な時は、いかなる名刀も本来の切れ味を発揮することができないだけでなく、元の切れ味に戻すことも難しくなります。

現在においても、安心して名刀の研磨を託せる研師は、一握りしか存在しません。

刀剣の研磨は、従来刀剣の鑑定と研磨を業とした家の『本阿弥家(ほんあみけ)』が本職であったことで、現在でも、研師のほとんどはその『本阿弥家』の流れを組んだ人たちです。

研磨の砥石も、時代と人によって多少の変化はありますが、現在でも使われている砥石があります。

その中のいくつかをご紹介します。

 

(1)伊豫砥(いよど)
白く柔らかい質の刀剣を研ぐための砥石で刀剣の形を整える為に使用。日本刀を研磨する際、一番最初に使用されるのでより精巧な研磨が必要となります。

(2)備水砥(びんすいど)
伊豫砥による砥石目を取り除き、また形が狂ってしまった刀身の細部を調整するために使用されます。

(3)改正砥(かいせいど)
備水砥による砥石目を取り除きます。研ぎ具合が強い為、切先には当てません。

(4)中名倉砥(ちゅうなぐらど)
「堅(タツ)を研ぐ」という研磨法にて使用され、刀身の方向にしゃくるようにして縦に研ぎます。

(5)細名倉砥(こまなぐらど)
中名倉砥と同様に堅(タツ)を研ぐ最終段階で使用されます。ここで地刃の出来上がりを左右する、非常に重要な工程です。

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