「刀 銘 賀州住兼若造」は、慶長十四世紀から元和年紀にかけての兼若の作品と比較研究され、大体慶長十六、七年頃の作であると推定されます。

初代兼若については、天正頃に美濃国や尾州犬山から移住した四方助兼若とされてきましたが、研究によりこれは誤りであることが明らかになりました。実際の加州初代は、甚六兼若であるとされています。

 

この「刀 銘 賀州住兼若造」の長さはおよそ66センチ(二尺一寸八分)、反りはおよそ0.9センチ(三分)です。鎬造りで庵棟、棟は高く、重ねは薄く仕上げられています。鋒は延びごころとなり、反りは浅めです。鍛えは板目流れごころに肌立ち、地沸がつき、やや白けごころが見られます。これは、この派に限らず、この国全体の見どころのひとつとして挙げられます。

刃文は中直刃調で、所々に浅いのたれや互の目が交じり。総体的に刃縁はほつれごころとなり、匂いは深く、沸はよくつきます。砂流しや金筋も所々にかかり、古風な印象です。帽子は僅かに乱れ込み、先掃掛けの部分にも荒沸がついています。

表裏には棒樋に添樋を搔き流し、南北朝期の志津一派の作品を思わせる特徴があります。茎はおよそ6.1センチ(二寸)を磨上げ、先は浅い栗尻。鑢目は勝手下がり、目釘孔は三つです。もとの目釘孔の下、中央には「賀州住兼若造」という長銘が刻まれています。

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